疼痛について -下行性疼痛抑制機構-
こんにちは!トモヤンです!
前回は疼痛の種類について紹介させていただきました。
急性疼痛と慢性疼痛
そして慢性疼痛の中でも2、3種類の疼痛があることをお伝えさせて
いただきました。
そして今回は痛みの抑制に作用する
下行性疼痛抑制機構について記載させていただきます。
下行性疼痛抑制系とは
下行性とは上位脳から下位脳に向かって信号を伝える神経路です。
その中で大脳皮質から中脳を経て延髄を通り脊髄後角に行く経路があります。
脳幹から下行して痛覚の伝達をする脊髄後角へと作用して
痛覚伝達を抑制する神経には主に2つの経路があります。
ノルアドレナリン作動性ニューロン
ノルアドレナリンが作用する神経路は中脳中心灰白質から橋を通り
脊髄後角へと投射し一次知覚ニューロンと脊髄後角ニューロンの痛覚伝達を抑制します。
セロトニン作動性ニューロン
中脳中心灰白質から始まり、延髄の大縫線核を通り脊髄後角へと投射し
脊髄後角での痛覚伝達を抑制します。
セロトニンは侵害受容器に対しては発痛物質として痛みを強める作用として
働きますが、脊髄後角においては痛みを抑制する働きを持ちます。
下行性疼痛抑制系が働くには?
この疼痛抑制機構が働くには2つほどあります
侵害受容性疼痛が生じる
脊髄視床路からの入力によって侵害受容性疼痛を感じると
先ほど述べたノルアドレナリン・セロトニンを神経伝達物質として使う神経が
駆動し、脊髄後角での痛覚伝達を抑制するために賦活されます。
薬物療法(抗うつ薬)
抗うつ薬には三環系抗うつ薬や選択的セロトニン再取り込み阻害薬などがあります。
それぞれ脳内の神経伝達物質であるノルアドレナリン・セロトニンを増加させて
下行性疼痛抑制系を賦活させます。
下行性疼痛抑制系が働かないとき
先ほど述べたように抗うつ薬が下行性疼痛抑制系を賦活するので
逆に鬱などの情動障害が生じると脳内でノルアドレナリンやセロトニンの産生が低下するため
下行性疼痛抑制系は働きにくくなります。
まとめ
今回下行性疼痛抑制系に
ついて書かさせていただきました。
一般的には下行性疼痛抑制系が痛みの抑制に関与していると言われていますが
逆に慢性痛の発症にこの下行性疼痛抑制系が関与しているということも
示唆されているようですので下行性疼痛抑制系については
まだまだこれからも解明されていくと思います。
それでは。
参考文献